普通自動二輪免許

…を取得した。

以前一寸書いた「もうひとつやってること」がこれだったんだけど、ようやく落ち着いたので書くことにする。

 

乗り物やら内燃機関やらにはとんと興味がなく、交通網の整備された都市部では特に不便もなく、地方に住んでいた時期にも職場は徒歩圏内で、旅行に際しても鉄道で事足りる人生を送っており、そもそも自前で乗り物を操って移動する必要が全くなかったため、この歳になるまで運転免許の類を何一つ持っていなかったのだけども、ソロキャンプに手を染めると、これまでの移動手段では「行きたい場所」に比して「行ける場所」が少なくなる。

 

また、昨今各所で求められる「本人確認書類」の基準が厳しくなってきており、健康保険証だけではだめ、というケースも増えてきた。そんな場面でも運転免許証であれば単体で一発OKだったりするので、この国においてはIDカードとしての免許証の信頼は絶大である。

 

そんな事情が重なり臨界点を越えたので、今年の2月頃から時間の工面が厳しい中でポツポツと教習を受け、昨日ようやく交付と相成った。普通免許でないのは「置場所の確保が厳しそう」という事情。まあ四輪も必要となればそれは後でも取れるし、今はまだその時ではない、というだけのこと。大型自動二輪免許についても同様で、「足りなくなったら取得を検討する」ぐらいのスタンス。

 

まあせっかくとったので、この辺も徐々に趣味化していけりゃ良いんかな。

角渕キャンプ場(群馬県玉村町)

群馬県玉村町にある「角渕キャンプ場」にてテント泊してきた。

当日の荷物はこんな感じで基本バックパックひとつに食料ケース(奥のオレンジ色のやつ)

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正確にはこれ以外にウェストバッグとG.I.スタイルのキャンティーン(水筒)がある。

 

経路

上越新幹線で東京駅から高崎駅まで移動後、湘南新宿ライン新町駅へ。鉄道で行けるのはここまで。湘南新宿ラインってこの辺まで延びてたのか…

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ぐんまちゃんがかわいい。

ここからはバス。新町玉村線玉村町役場行きに乗り、角渕南停留所で下車。途中にある陸上自衛隊第12後方支援隊の新町駐屯地を車中からみて特に意味なく感動してた。

 

角渕南停留所から200mほど南下し、橋の小脇に別れている坂道を下ったところにある「烏川運動公園」、キャンプ場はその中にある…のだが。

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GoogleMapsが経路情報として表示するこの徒歩ルートに騙されてはいけない。このルートに入ると、示された点線の右下あたりでどなたかの農地にたどり着く。そこから先にこの経路で示されたような道はない。
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この案内板がある辺りの左手に駐車場がある。その中を突っ切って行くのが正解だ。

 

そして入り口にはこの看板がある。ここから先がキャンプ場だ。

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施設/サイト

特に管理小屋などは設けられておらず、管理人さんが常駐していたりもしない。予約不要の無料キャンプ場で、チェックイン/アウトなどもないので、皆さん好きな時に来て好きな時に帰っていくようだ。

 

もちろん売店などもないし、道具のレンタルもないので、キャンプ装備は全て持ち込み、薪の販売もないというそこそこ玄人向けのキャンプ場だ。個人的にはまさにそんなキャンプがしたい人なので、むしろうってつけである。あるのは各所で前評判どおりの仮設トイレと、あとはバーベキュー場の常設炊事場と水道か。上水道が利用できるので水の心配については不要だ。

 

入ってすぐの草地エリアと、小川を渡ったその先にある林間サイトがある。

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今回は林間サイトにした。一面に枯葉が落ちているので、焚き火をやる場合は周囲の枯葉をある程度片付け、スパッタシートを敷いた上で焚き火台を使うなどの配慮が必要だ。一部、テント泊用と思われる土塁が設けられている箇所があるので、雨天によるテント下への浸水が心配な向きは利用すると良い。雨水避けの溝を掘るにも、芝生のある箇所を掘り返すわけにはいかないので。

今回はそんな土塁のひとつに陣取ることにした。

 

装備

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テントはDUNLOP VS20を土塁の上に設営、そのすぐそばにトレッキングポールを利用して陸自迷彩のGORE-TEX遮光ポンチョタープを張った。今回は装備を減らすためチェアを省略し、スーパーで買った約300円程度の一畳レジャーシートと、SOTOフィールドホッパーの組み合わせ。今回はチェアに限らず装備のダウンサイジングを徹底しており、テント内のマットをエアーマットにしたり、焚き火台もコンパクトなものにしたりしている。レジャーシートもガチのブルーシートは畳んでも体積が大きいのでこの選択だ。

 

で、焚き火台、DoD「秘密のグリルちゃん」

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これが実にコンパクトで良い。ただ、灰がこぼれやすいのでスパッタシートは必須だ。今回のような枯葉の多い場所で使うなら特に。

 

クッカー類はドイツ飯盒とキャンティーンカップ


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薪の調達

薪は売っていないのだけども倒木があったりするので、道具があればこれを切りだし、割って使うことができる。また、そうしたキャンプ場でも対応できるよう、必要な道具は装備に含めてある。今回は運よく設営場所付近に倒木が転がっていたので、切り出して使うことにした。

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タジマG-SAW210で切り出した倒木をGARBER BEAR GRYLLSで割るの図。この太さはナイフバトニングでは割れない。1/4程度まで割ってからナイフバトニングする。

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着火材はそこいらに松ぼっくりがいくらでも落ちているのでそれを利用すればいい。実は今回、このお陰で薪代がかかっていないのと、キャンプ中の燃料を全て薪で賄うことができたのとで、アルコールストーブの出番がなく持っていった燃料アルコールを一滴たりとも使用していない。

いつもはチェックアウト前に慌てて始末をする必要がないように焚き火は前日の晩までにして撤収日の朝食は持ち込み燃料で作るのだけども、今回はチェックアウト時刻という制限が無いため朝食まで薪の火力で作ることができた。

 

食事

持っていった食材は下記の通り。

  • コンビーフ缶詰
  • あさり水煮缶詰
  • トマトソース缶詰
  • 人参 小1本
  • 馬鈴薯 小1個
  • 玉葱 小1個
  • 生姜 1片
  • ハム 5枚パック
  • スパゲティ・パスタ 200g
  • カレールウ 2片
  • バター
  • その他基礎調味料類

 

土曜の昼はスパゲティ・ナポリタン。玉葱を1/2、ハム、バター、パスタ、トマトソース缶詰を使用。f:id:big-bros:20181022174056j:image

夜はコンビーフカレー。玉葱の残り、馬鈴薯、人参、コンビーフ缶詰、カレールウ、米を使用。

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日曜の朝は先日も書いた深川めし。あさり水煮缶詰、生姜、米を使用。

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…なんだけど、あさりの時雨煮までは撮影したものの混ぜた後に撮るのを忘れてた。

 

いずれも缶詰をフル活用した。食肉や魚介、やわらかく痛みやすい野菜などは缶詰で代替すると、常温でも3年ほど保存できるものが多いため、鮮度管理のためのクーラーボックスなど冷蔵装備が不要になる。

鉄道キャンパーは缶詰を活用したレシピを研究・習得すると、荷物のダウンサイジングに繋がるのでお勧めしたい。

 

ゴミの始末

今回のキャンプで出たゴミの総量が、この写真である。

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これは、Ziplocの小サイズ。この中に収まる程度のゴミしか出していない。体積のほとんどが空き缶であり、他はハムのパッケージと、飯盒に残った米粒を回収して食べるために淹れた玄米茶の出涸らしと、馬鈴薯の皮や人参のへた、玉葱の皮ぐらいか。このZiplocも元はといえばパスタを入れて持ってきたものだ。

このキャンプ場は管理人さんが常駐していないのでゴミ回収などやっておらず、当然持ち帰りである。何よりも出すゴミの量を少なく抑えることを心がければ、持ち帰りもそれほど大変ではない。

 

総括

今回何よりも面白かったのは、やはり「薪の調達」である。金で買うのではなく、自らの目と足で探し、道具とノウハウで使える薪にする。ちょっとしたブッシュクラフト気分だった。あとは食材の鮮度管理問題を解決するために考えた缶詰主体のレシピを実践できたこと、今回から導入のポンチョタープとトレッキングポールの組み合わせを試せたことなど、非常に多くの実験的な試みができた、実りの多いキャンプだった。実に面白かった。

 

今後の展望

計画しているのは二つ。

 

ひとつはコンフォート温度-4℃の冬用ダウンシュラフを調達したので、真冬のキャンプを少ない装備で快適に行えるスタイルを考えたい。

 

もうひとつは冬が終わってからになるだろうけども、現行装備からさらにテントを省略しモスキートネットを加え、ポンチョタープとトレッキングポールで寝床を構築するタープ泊を試したい。テントが省略できればさらに装備のダウンサイジングに繋がる。

 

まあ今後も楽しんでいきましょうと。

 

 

深川めし

先日こちらで書いた、あさりの水煮缶詰を使った「深川めし」を作ってみた。

あさりの水煮缶詰 - 人生戦闘詳報RX

元にしたのはキッコーマンのサイトにあったレシピ。手順としては、「あさりのしぐれ煮」を作り、それを材料のひとつとして「深川めし」を作る、となる。

 

元のレシピはこちら。

あさりのしぐれ煮のレシピ・つくり方 | キッコーマン | ホームクッキング

深川めしのレシピ・つくり方 | キッコーマン | ホームクッキング

あさりの水煮缶詰を使ったキャンプ料理としてこれを作る場合は、下記の点をアレンジすることになる。

  1. 生のあさりからではなく、既に水煮となった缶詰を使用するので、しぐれ煮を作る際の煮込みはあまり時間をかけなくとも良い。
  2. 炊飯器ではなく飯盒やメスティン、ライスクッカー等を用いて炊飯するので、そこは適切に置き換える

纏めると以下のようになる。

 

あさりのしぐれ煮

材料

  • あさりの水煮缶詰(1缶内容量130g)*1
  • 生姜(1片)
  • 醤油(小さじ3)
  • 酒(小さじ3)
  • みりん(小さじ3)
  • 砂糖(小さじ1/2)
  1. あさりの水煮缶詰を開けて汁を別の器にとっておき、あさりの身と分ける。汁は米を炊く際に使うので捨てない
  2. 生姜を千切りにする
  3. シェラカップに酒、みりん、砂糖、生姜を入れて弱火にかけ、沸騰させる
  4. 沸騰したらあさりの身を投入し、混ぜながら約1~2分程度煮る。水は入れない。焦げ付かせないよう注意
  5. 醤油を入れてよく混ぜて火を止め、10分程度冷ます

 

深川めし(2合炊き)

材料

  • 米(2合)
  • あさりの水煮缶詰の汁(しぐれ煮を作ったときのもの)
  • 生姜(1片)
  • 醤油(大さじ1)
  • 酒(大さじ1)
  • みりん(大さじ1)
  • 塩(小さじ1/2)
  • あさりのしぐれ煮(1缶分)
  1. 米を研ぐ
  2. 生姜を千切りにする
  3. 米を飯盒などに入れ、生姜、あさりの水煮缶詰の汁、醤油、酒、みりん、塩を加えた上で2合炊きの水加減にし、よく混ぜた上で吸水させる。夏場は30分、春と秋は1時間、冬場は1時間30分
  4. 吸水が終わったらいつものように火にかけて炊く
  5. 米が炊き上がり火から下ろしたら、蒸らす前に蓋を開け、あさりのしぐれ煮を乗せる。その後蓋をしていつものように蒸らす。
  6. 蒸らし終わったら全体をよく混ぜて完成

 

飯盒やメスティンでの炊飯経験が無い場合は、まず普通の白飯を炊く練習をすると良い。やり方がわからない場合は以前twitterに鍋でご飯を炊く方法をまとめたことがあるので、そちらを参照していただくと良いかもしれない。鍋が飯盒やメスティンに置き換わっても基本は同じである。

電力に頼らない米の炊き方

上手くいけば大変美味しいので、ぜひお試しあれ。

 


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*1:異なるサイズのものも売られているので、内容量を確認の上分量を調整

ひとまずこの3年について

はてなダイアリーからのサービス移行前、最後に書いた記事が2015年。ではこの3年何もなかったのか? といえば勿論そんなことはない。趣味方面での比較的大きな波が二つほどあった。

 

2015年の終盤あたりからサバイバルゲームをやるようになった。ボークス店頭で見た東京マルイのGLOCK26に惚れ込んで買ったのが契機。その後ハンドガン14丁、狙撃銃含む長物が5丁、BDU3種に各種装具等、装備もそれなりに充実。

 

その流れで野営的なことがやりたくなり、2016年にはソロキャンプなどやるようになった。装備類は概ね山岳もしくは軍用品寄り。あまり行楽色はないw 民族柄よりオリーブドラブ。ドイツ連邦軍飯盒とカトラリーセット、米軍キャンティーンカップ、アルコールストーブがお気に入り。そんなことをやってたら2018年になって「ゆるキャン△」が放映されたりしてびっくりだ。

 

もうひとつやってることがあるけど、そちらはまだ結果が出せてないので秘密。でも近いうちに書けるとは思う。

 

 

 

 

あさりの水煮缶詰

近所に缶詰を安く入手できる店があって、備蓄食料を補充する際に利用している。

自宅に一定の種類の缶詰を各一定数キープしておき、たまに品質保持期限が近いものから消費しつつその分を新たに補充する、というサイクルを確立しようとしている。現在最も近い品質保持期限のものでも2年以上先で、突然災害に見舞われても当面それらで食いつなぐことができる。プレート境界にある太平洋に面した島国に住んでいる以上地震も台風も避けようがないし、東京だけが永遠に無事などと考える理由はない。

あとはキャンプにもっていく食材として、缶詰は鮮度管理の問題を一気に解決してくれる。日本におけるキャンプ料理としてポピュラーな料理にカレーライスが挙げられるが、カレーに用いられる食材の中でも肉だけは極めて鮮度管理がシビアだ。要冷蔵であり、特に夏場は食中毒の要因にもなりかねない。冷蔵しながら携行しようと思えば2Lの飲料水ペットボトルを凍らせたものと一緒に保冷バッグにいれたり、持続時間が終われば家に戻って再度凍らせるまでただの荷物になってしまう保冷剤と一緒にしておくなど肉一つのために大層な嵩張りような上、食べられるとしてもせいぜい初日~翌日で長期キャンプには向かないが、コンビーフ缶で肉を代替すればあの小さな缶一つの容積があれば済むし、常温でも3年はもつので冷蔵に気を遣う必要もなくなる。カレー缶詰を用いれば調理の手間さえなくなるが、キャンプの主目的が料理の場合もあるのでそこのバランスは考える必要がある。


そんなわけで備蓄の缶詰としてカレーや焼き鳥、コンビーフが常時ストックされている状態なのだけども、先日「あさりの水煮」の缶詰を見つけ、その利用法を考えることにした。

あさりで思いつく料理をぱっと挙げれば、味噌汁、酒蒸し、スパゲティボンゴレ、シーフードパエリアなどが出てくる。日常の食事やキャンプ料理でも利用価値が高く、ちょっと贅沢な気分にもなれる食材である。スーパーでボイルされたあさりを買うと冷凍庫に入れておいても頑張って一週間程度しかもたないが、それが缶詰になると3年近く保管可能になる。これを利用しない手はない。もっとも、既に水煮にされているのでそこから作れるレシピに限られてくるが。

とはいえ、今のところ上で思いつくまま挙げたレシピ以外のものが出てこない。それだけでも充分と思われるかもしれないが、さらに何か新たなレシピが欲しいと思っていたのだけども、「深川めし」など良さそうだ。

深川めしのレシピ・つくり方 | キッコーマン | ホームクッキング

キッコーマンのサイトにあるレシピだと「あさりのしぐれ煮」を材料として用いるようになっている。

あさりのしぐれ煮のレシピ・つくり方 | キッコーマン | ホームクッキング

しぐれ煮のレシピは生のあさりから作るようになっているが、世の中には焼き鳥缶詰を利用して親子丼を作るレシピもあるので、多少アレンジしてあさりの水煮缶詰から作ることもできそうな気もするし、心配ならばキョクヨーから「あさり時雨煮」の缶詰も出ているのでそちらを使うのもありだろう。

缶詰「あさり時雨煮」

とはいえ、「他でも使えるようにしておきたい」という需要があるので、水煮缶詰から作れるレシピを確立するのが良さそうだ。

サービス移行

はてなダイアリー」が終わるというので、ずっとサボっていた「はてなブログ」へのサービス移行を行った。まあ、放っておいても自動的にサービス移行する旨アナウンスされてたけど、多分混雑すると思ったので先行してやっておくことにした。

 

なんというか、2004年頃から書き始めて10年以上経つけど、twitterを始めた2010年あたりからはほとんど書いてないんだけども。昔記事書いてた頃とも考え方が今は大きく変わっているんだけども。過去にそう考えていたのは事実だったりするし、そこから様々な過程を経て現在にたどり着いたことだけは間違いないので、無かったことにはしない。

 

あとは、やっぱり自分の活動をtwitterのようなリアルタイム性は高いが散文的、刹那的な形でだけではなく総括して纏めておける場所は持っておかねばならないと思った。その日なにかが起こる度に都度思ったことをtwitterで書き散らすだけではなくて、一段落つけて落ち着いたところで振り返って纏めるという思考のサイクルが、その昔日記としてblog記事を書いていた頃には確かにあったが、最近はそれをやっていないと感じている。自分として、それはやはり良くないのではないか、と。

 

移行にあたって最後に書いた記事を見ると2015年。実に3年も記事を書いていない。過去の記事はいずれも稚拙で、偏狭で、誤謬に満ちている。今後もそれは多分変わらず、単に方向性の違う稚拙さや偏狭さ、誤謬を積み重ねていくに違いないのだけども、そういう道を通ったことを振り返ることができる足掛かりとして、やっぱり記事を書いていくのが必要なのかもしれない。

 

あとは「ほぼ毎日書く」ことで、昔は何か書くことを探すためにアクティブに生きていた感がある。twitterだとその辺が自分のような怠惰な人間には受動的になりがちなので、そういう足掛かりにもできるかもしれない。

 

まあなんにせよ、またフラフラと与太を綴っていければ良いな。

 

学ぶことへの突破口

実のところ自分は中学高校と数学は得意ではなく、お世辞にも良い成績ではなかった。
おまけに大学にも行っていないので、学校での数学教育は高校卒業と同時に終わってしまっていた。

中学高校で何を習ったかの項目は覚えてはいるが、それらの詳細がどんなものであったのかを理解したのは学校を出て月日が経過し、自力でそのあたりを学び直してからである。それ以降、数学以上にあらゆることの役に立つ道具とは出会えていない。つまり現時点に至るまで、数学は公私ともに役に立ち続けているということ。


正直この「学び直し」は二度手間であったと感じているので、
現役の中高生には「学校で学べるうちにそれらを理解しておいた方が良い」と言うし、
残念ながら理解しないまま大人になってしまった人には「大丈夫、今からでもそれは取り戻せる、現に俺は取り戻した」と言う。
大学にさえ行っていない俺でも中学高校で習った中で覚えている幾ばくかだけを最初の足掛かりとして、現在の程度までは取り戻せる、というのは自身の経験が証明している。


とはいっても理由も興味もないまま学び直すのを徒労に感じるのはわかる。しかし、それはそれで問題が明確であるので、その問題を解決してしまえばよい。つまり「数学がわからなければ先に進めない興味の対象」を持てば良いのだ。


自分の場合はSFを書きたくなり、そこに登場させるロケットの数値に「実際に飛ぶ筈である数値的根拠を与えたくて買った本」の内容を理解したいと思った。

何より重要なのは、自分にとってこれは無駄知識であり、理解することを勝利条件としたゲームなのだ、という点である。

自身の力でロケットを設計、製作して現実に飛ばすことなど当時の自分にはあり得なかった。これが仕事で必要なのでやむなく、とかの動機であれば「やらされている」感が尋常ではなかっただろう。学ぶことに義務感や使命感は致命的だ。重要なのは伊達と酔狂を動機とすることなのだ。伊達と酔狂でやる限り人間は無限に学んでいける。それで学んだことの余禄を仕事にでも応用して飯の種にできればさらに良い。

とにかく「この本を一定以上理解すること」という目標が突破口になった。


それで実際に何をやったかといえば、読んでいく中で登場する数式について前提条件をつぶさに読み、その上で数式を読み解いて、理解が及んでいないと感じた箇所についてとにかく調べた。調べた中で不明点があればそこから再帰的に調べて掘り進んだ。

この「再帰的に調べる」というのが重要。
自分が今読んでいるのは応用であり、その応用を自身は理解したいのだ、という認識を持つ。
応用は基礎ができていなければ理解不能であるから、応用を説明されてわからないところこそが一段下の基礎である。
それを調べてわからない箇所があれば、それがさらに一段下の基礎である…という感じで、
「応用の側からわかるところにたどり着くまで基礎の側に掘り進んでいく」方法をとった。
理解の上で呼び出し元に戻ってくるころには基礎も出来上がっている。

これを繰り返すと、回を重ねるごとに掘り進む深度が浅くて済むようになる。
一度掘り進んだ基礎については既に理解しているので、
同じ基礎に立脚するものであれば理解が済んでいる階層にたどり着いたらそれ以上掘る必要がなくなるからだ。


また「自分に理解可能な形で理解する」というのも大事。

たとえば「Σ」という記号が出てきたら「このΣはどう取り扱う記号なのか」といったところから調べた。
この場合調べた結果の理解は「for文的にループで足し算する」みたいな感じだった。つまり、

x=\sum_{n=0}^{N-1}V_{n}

であれば

int sum_func(int V[], int N)
{
	int n;
	int x = 0;
	for(n = 0; n < N; n++) {
		x += V[n];
	}
	return x;
}

のようなコードになる、というふうに。


プログラムを理解できる、というスキルに数式表現の理解で助けられた点は大きい。数式においてそれぞれの記号が表す値の扱いを、プログラムコードという表現で理解できるわけで、これは下手に日本語で説明されるより確実性の高い方法だ。プログラムが多少なりとも理解できるというだけで、数学を学ぶ上での強力な武器を手にしているのだ、とも言えると思う。


「現時点でわからない」というだけで「自分には理解できない」という結論に至るのは明らかな飛躍であるし、突破口が開ければ学んでいける道もある。そして突破口を作ることは現実に可能だ。「わからないまま」は勿体ない。