思い出したように書いてみる「ハッカー」と「クラッカー」
ちょいと古いネタだが、色々飛び回っていたら久しぶりに目にしたので書いてみる。
…127.0.0.1 が何だか知っていれば、このジョークに出てくる「自称ハッカー」の間抜けさを楽しめるわけだが、わからん人のために軽く解説しておくと、127.0.0.1 は localhost 、つまり「自分自身」を指している。基本的にはネットワーク上にあるどのコンピュータの上においても、127.0.0.1 はそれぞれ「それ自身」を指しているわけだ。
要するにこの「自称ハッカー」は一生懸命自分の環境を破壊していた、ということ。
彼が自称する「ハッカー」の名にふさわしい実力をほんの僅かでも持ち合わせていれば、こんなネタに引っかかって自分の環境を自分で破壊することもなかっただろうし、そもそもそんな非生産的な行動をしようと考えることも無かっただろうねぇ。
まぁ、このジョークに出てくるようなおバカには昔から「クラッカー」という名前がついてるんだが、おバカ供が「ハッカー」を自称するのと、それを受けたメディアが散々「ハッカー」の名で煽り立てた挙句、最近ではおバカの意味で「ハッカー」を使う人が多くなってしまったわけで。
本来は「生産的なコンピュータのエキスパート」の意味なわけだが、意味を取り違えた人との会話というのは非常にややこしく誤解を招くものになる。実際以前いた部署のえらい人との間で
私「ハッカーって別に悪い人の意味じゃないんですけどね。ハッキング自体は生産的な活動なわけで」
偉い人「いや、だめだろう。犯罪だろ?」
私「いや、だからそれはメディアによるハッカーという言葉が捻じ曲げられた末での誤解で…」
偉い人「いやいやいや、どんな理屈つけても犯罪は犯罪だから…」
…てな感じで、全く会話が噛み合っていなかったこともある。
まぁ誤解に基づく意味を広めたメディアの責任を追求するのはまた別の場でやるとしても、
「言葉というのは変わっていくものだから…」
という感じに「ハッカー=クラッカー」を容認する人に昔から質問したかったのは
「じゃあ、本来のハッカーはこれから何と呼べばいいのだ?」
ってことだな。
コンピュータ技術者のスキルはピンキリで、ピンとキリの間には少なく見積もっても20倍以上の生産性の差が横たわるという冷酷にして厳然たる事実があって、そのうち優秀な一端を呼ぶ言葉が「ハッカー」だったのだが、それを非生産的に過ぎる人の呼称にするのを容認するとしたら、極めて生産的な人を同じ名で呼ぶのは違和感がありすぎる。
だってそれだけの差異があるんだもの。畏敬の念を込めて彼らを呼ぶ言葉が新たに用意されて然るべきじゃないのか? 本来は「ハッカー」がそういう言葉だったわけだから。