ToHeart2の評価

んで、個人評価。

システム面:
前作を踏襲したノベルシステム。基本的には何ら変わることはない。その是否については述べない。前作にあったようなシューティングとか落ちモノパズルとか、1画面アクションとかのミニゲームが出て来なかったのがちょっと寂しい。あるのかも知れないが。

シナリオ面:
愛佳さんシナリオのみをプレイしただけである現状での判断では「極上」に分類して良いんではなかろうか。他キャラ分のプレイで評価は変わるかもしれないが。

ビジュアル面:
この開発元は、相変わらずクオリティの高い作画をしてくれる。ただ、やはり目パチ、口パクや背景アニメーションのような「画面の動き」とか、立ち絵による寸劇などは、ちょっと前にプレイした「双恋」には見劣りする。もっともこちらは「読むこと」に重点を置いているので動きまわられても困る。ゲームの根幹を無視して純粋にプログラムとして比較するのは間違い。


以前会社の飲み会で、新人に「シナリオ重視? システム重視?」という質問をしたところ、


「ゲームの場合面白いゲームシステムじゃなきゃ面白いシナリオなんてありえないだろ」


という反論をまた別のスタッフから受けて咎められたことがある。同業者として(しかも同じ職場の人間として)情けないことに、現役の大手ゲーム屋にこういう人がいる。だが久しぶりに私はその意見を否定できそうだ。「面白いシステム」でなくて「良いシステム」なら同意できるんだが。

Wizardry というゲームがある(最近の若者にはこういう言い方をしなければならなくなった)。あのゲームは、「描かない」ことにより、プレイヤーの想像力をかきたてる。その結果プレイヤーの数だけのWizardryがあるといっていい。それこそがあのゲームの偉大なところだ──たとえそれが、時代背景によりもたらされた、マシン資源の貧弱さからくる「やりたくても出来なかったことが原因」だったとしても、結果的にそれがゲームの面白さという「目的」にかなっているならば、その選択は正しかったのだ。

ノベル系のゲームシステムというのは、はっきりいって、断じて、お世辞にも「面白いゲームシステム」などではない。でも「良いシステム」ではあると思う。「良い」というのは「目的にかなっている」こと。つまりノベル系のシステムは「面白いシナリオの邪魔をしない」ことによって、読む楽しみ、ビジュアルを追う楽しみを最大限に引き出す「良いシステム」であるということだ。

言葉面から受ける誤解を恐れず言えば、「面白くないシステム」の上に「面白いシナリオ」が成立している実例なわけだな。そしてそのシステムは面白くはないが「良いシステム」なわけだ。

まぁ、それをゲームと呼ぶかどうかは人による。しかし、ゲームという言葉の概念はもっと広くても良いと思う。ゲームの概念の広さを否定することは、新しい遊びを否定することに等しい。

要約すると、「俺はToHeart2を楽しめたよ」ということだな。そしてその楽しみの源が魅力的なビジュアルと、身近だけども大切なテーマを扱ったシナリオにあるということ。