読了:「緑の少女/THE COLOR OF DISTANCE」(エイミー・トムスン)

読了。以下、この節にはテンドゥ達の言葉が含まれる。

細かいことを言い出せば、テンドゥの精神構造が根底のレベルで人間と疎通可能なのかとか、アリューアの際の生化学反応は何を利用しているのかとか(単純に電気信号の伝達だったりして)、テンドゥと同じものを食べられるということは代謝機能は同じなのかとか、色々疑問は残らんでもない。

しかし、本来なら出会う筈の無い者同士が出会い、死ぬはずだった者が命びろいをし、種と文化と恒星間の距離を越えた連帯感を育んで行く物語は純粋に感動できた。

モキはシティックであるイーリン(ジュナ)について行きたいと願う気持ちから、尊者ユカトネンは停滞から脱したいという想いから地球に行くことを決断した。アニという名のバミであった頃からテンドゥ達の中で最もイーリンと長い時間を共有した尊者アニトネンは、自分のアトゥワが母星に帰るのを見届ける。

恒星を越えた彼女等の別れ、人類とテンドゥ達の別れが永遠のものではないことを願わずにはいられない。
そんな結末だった。