行き詰ったのでルーツを辿ってみた。

なんというか、自分の作るものの方向性が定まらず、かなり迷った。
というのも、自分には「集中的に聴いてきた音楽ジャンル」が無いことに気づいたため。


これまで聴いてきた音楽の共通項は広義に言うところの「アニソン」(ゲーム含む)であり、「アニソン」というのは「音楽が何に使われたか」を表す言葉ではあっても、「その音楽の傾向(ジャンル)」を一切規定していない言葉だからだ。その証拠に、「アニソン」はジャズ、ポップス、ハードロック、メタル、パンク、テクノ etc. 果ては演歌に至るまで、考えつく限りあらゆるジャンルを内包する。これから先新たなジャンルが花開くことがあっても、「アニソン」はそれすら飲み込むだろう。


…と、そんな感じなので、自分が聴いてきた音楽には「ジャンル」の縛りが全くといっていいほど存在しない。各ジャンルについて「○○はこんな音楽」ということは出来ても、その「○○の良さ」を語れない。それがどういう音楽であるかは知っていても、そのジャンルの「良さ」の定義を自分の中に持っておらず、表層上の知識に留まっている。各ジャンルが拠って立つ「重要なポイント」が何であるかを知っていたとしても、それについての「良さ」を自ら感じているわけではない。


これは今後この方面の活動をする上で由々しき事態だ。自分が「良い」と思っているかどうか自分自身でも怪しいものを創り「作品でござい」と人様の前に差し出すわけであるから、少なくともそれが正しいあり方であるとは思えない。仕事であればそういう割りきりが必要なことがあるのも承知しているが、同人でそんなことはやりたくない。



では、「アニソンであること」を条件として選択的に音楽を聴き始める前、自分はどんな音楽を聴いていただろう?
…と思い返してみて、「中二病」という言葉が生まれるほど鋭敏な感性を持っているとされる中学生ぐらいの頃、自分が聞いていたのはどんな音楽だったかを思い出し、音源を買ってきた。

ゴールデン☆ベスト 永井真理子

ゴールデン☆ベスト 永井真理子


インターネットも Web もなく、一般に普及していたPC(といってもマニアの玩具で、私もそのマニアの一人だった)が mp3 などを処理できるほどのメモリやストレージ、CPUパワーや音源ユニットを持つようになる以前の時代のこと*1。当時の自分は両親から小遣いをもらう身分の中学生。自分の給料が許す限り音源を手に入れられる今とは違い、FMラジオでエアチェック(死語)するのが精一杯だったが、録音したテープ(そう、年代的に「テープ」なんだなこれが)は何度も聴いたものだったな。


中学生の時、私は確かに彼女の音楽を良いと思った。
それから20年以上経った今、再び聴いてみた。
当時のままに、いや、自分が時間を重ねた分、当時以上の「良い」がそこにあった。
自分の精神が今の記憶と知識を蓄えたまま、14歳当時の自分に引き戻される気がした。


なんか時間ばかりを重ねて色々と聴くうちに無感動になってしまった気がしていたが、自分にとっての「良い」がまだあって、それを再び見出せたというのはとても幸福なことだ。



せっかく見つけたのだから、やっぱりこういう方向性のものがやりたい、と思った。
今進めているネタ企画はこの際一旦白紙に戻し、やりたいと思ったことをやろう。
それが同人ってもんだ。


ネタなんてものはいつでもできる。

*1:参考までに、高校時代に使用していた PC9801RS21 のスペックは、CPU:i386SX 16Mz/MEM:640[KB]/HDD:SASI 40[MB]/SOUND:YM2203。メモリとHDD容量の単位は間違いじゃないからなw 中学時代は自宅にPCは無く、部活動で 4MHz の Z80 で動作する SHARP X1turbo model10 を使用していた。