電車で宇宙へ

ユーリ・アルツタノフ原著による記事を読んでみたが、その先見性に驚かされる。

いま私たちはこの"宇宙索道"の構造をかなり詳しく想像することができる。まずそれは一本の糸ではなくて、横糸でたがいに結ばれて、平行に走る糸の相当のタバよりなる。


軌道エレベータは、もうこの頃から「繊維をよりあわせて作る」ものだったわけだ。

クラークの「楽園の泉」(1979)も、HighliftSystemsによる設計案(2002)も、この点は変わらない。シェフィールドの「星ぼしに架ける橋」(1979)では押し出し成型だったが。

こうして第一の糸が地球に結ばれると、これを支点として、この糸に沿って、自動"蜘蛛"をおろす。クモは第二の平行糸をひっぱっていき、つづいて第三、第四……と糸を張っていく。

これ、HighliftSystemsによる工法案と全く一緒。つまり、アルツタノフは1960年の段階で最も現実的な案を出していたことになる。

金子隆一/石原藤夫共著「軌道エレベーター〜宇宙へ架ける橋〜」や「楽園の泉」では、静止軌道上に炭素コンドライト(隕石)を持っていき、そこから上下に向けてテザーを生成するという案をとっていたし、「星ぼしに架ける橋」ではラグランジュ点で押し出し成型したエレベータを運んで地球に突き刺す(!)というアイデア

…まぁ実際、HighliftSystemsの論文では、参考文献にこの記事の原文が挙げられているので、「色々ある中で一番実現性が高かった」てことなんだろうけど。

この記事が書かれた当時、アルツタノフの肩書は「レニングラード工業大学研究生」。

彼のアイデアは、より現実味をおびて我々の前にある。