【読了】R.J.ソウヤー「ヒューマン - 人間 -」/ R.J.Sawyer's "Human"

同著者「ホミニッド -原人-」の続編。R.J.ソウヤーの日本における最新刊。昨日読了。

前作の最後で、一度自分の並行宇宙に帰ったネアンデルタールの量子物理学者ポンターが、再びゲートを開き我々グリクシン(我々が言うところのホモ・サピエンス・サピエンス)の宇宙にやってくる。異なる並行宇宙の地球に住む二つの「人類」の交流を求めて。しかし我々グリクシンは…

あ、ちなみに「グリクシン」というのは、作中に登場するネアンデルタール達が、自分たちの地球で既に滅んだ霊長類としての我々人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)を呼ぶときの名称。


我々グリクシンと異なる社会形態を確立したネアンデルタールの視点から、社会と人類に対する愛情にあふれた問題提起を色々やってくれるところはさすがソウヤー。こういうことができるのもハードSFがもつ力の一つ。素晴らしい。


あとがきにある、「あなたにとって科学とは何か」という問いに対するソウヤー自身の言葉。

科学とは世界を理解するための唯一の現実的な手法だ。そして、科学的な方法論は、哲学的な問題に答えるためにもとても有効なツールだ。たとえば『人生の意味』などという問いに対しても、科学的なアプローチが答を導いてくれると思う。

まさに至言。