まぁ、そんなわけで

2chには近寄りたくなかったというのと、他にやることが沢山あったという事情、主に「著作権」の問題として騒がれており、事実上 Public Domain なものの「著作権」に関しては結果として大した問題にならないという結論からこの問題に関しては全くチェックしていなかったのだが、ようやく事態が把握できてきた。


まずこれは「著作権」の問題などではなく、「商標権がどう行使されるか」という問題であるということ。よく見る意見では「著作権」の問題として騒いでいるので、Avex も有限会社ゼンも「著作権」に関しての声明を出してはいるが、「商標権行使の方針」については一切言及していない。数ある知的所有権の中で「著作権」と「商標権」の区別がついていない人は要注意だ。最悪のストーリーが現実になった場合、「著作権」に気を取られている間に「商標権」を使って Public Domain な共有財産が私物化・独占されかねない。Avex やゼンに問い合わせる場合は「著作権」ではなく「商標権」について訊いてみるべきだろう。


かつて Linux が商標登録されていたとして大騒ぎになったことがあった。Linux は Public Domain ではなく、著作権者が誰であるかもその配布にかかる許諾ライセンスも明示されており、「著作権」上の問題を引き起こす要因は一通りクリアになってはいたが、「商標権」に関しては無防備だったことに多くの人はそのとき初めて気づいただろう*1。この他にもLinux は SCOによる「SysV特許侵害訴訟」のような「特許権」の側面から脅威にさらされたこともある。さすがにソフトウェアという無形のものなので「意匠権」で攻められたことはないが。


「開かれた著作物」が「開かれた」ままでいるためには、「著作権」の問題が解決されていればよいというものではなく、他の「知的所有権」の側面からの脅威についても解決されている必要がある。まぁその辺の解決を行うべきなのは、その著作物を愛する人達の仕事なので、モナーに関して俺は何もするつもりはないが。

*1:今では各国における商標権は Linus Torvalds 氏に帰属している