久しぶりに煙草の話を書いてみる。

このところ、「反嫌煙」を掲げる人たちが俄かに活気付いている。有名なところでは「禁煙ファシズムと戦う」(ISBN:4584120994)のようなトンデモ本だ。


私は別に喫煙の習慣を持つこと自体は否定していない(ただし、他人の迷惑になるような吸い方をするなというスタンス。周囲の人が受動喫煙にさらされることが容易に想定される状況下での喫煙は許容できない)が、そんな私が何よりも許せないのは「資料の引用がいい加減」「資料を誤読する」「ミスリードを誘引するような書き方をする」「根拠が多数提示されているにもかかわらず『○○が唯一の根拠とされている』などと書く」など、

  • 「煙草の有害性が否定されたと読者に思い込ませるためにウソをつく」という方向性を持っている

こと。たとえば「「嫌煙運動」という神経症(「嘘まみれの嫌煙キャンペーンを大学人はどう考えるのか」(改訂版)」のようなサイト。明らかに疑似科学の側面を持っている。


同じ疑似科学でも、「フリーエネルギー」や「常温核融合」とかであれば、夢のある話でまだ許せるんだが、読んで本気にした人の健康が危険にさらされることを考えると、この種の疑似科学をとてもではないが許す気にはなれない。その種の人たちがやっていることは、メンデル遺伝学を否定し、自らのラマルク主義的な学説をソビエト国内に広め、農業を大きく後退させたT.D.ルイセンコと本質的に同じだ。過去に白人優越主義を補強するために出された数々のインチキ学説とかとも同レベル。

自分たちのいい加減な主張が仮に広まったらどんな結果になるか、ちゃんとわかっているのか? 多くの人を不幸に巻き込むことになるんだぞ!? 自分が煙草を吸いたいがために他人を巻き込むような輩は下の下だ。恥を知れ。よほど恥知らずな喫煙者でもなければ、この種の輩に「喫煙者」を代表されるのは、「喫煙者」に分類される人たちにとってもさぞ迷惑なことだろう。


もしあなたがこの種の本やWebSiteの文を読むのであれば、欺瞞や自己撞着などに惑わされず考えてほしい。提示されたデータが正しいか疑うのはもちろんのこと、事実に基づいたデータを根拠にしていても、そのデータの読み方を間違えては正しい結論が出てくることは無い。データやその解釈が出されたら、データの一次資料を当たったり、彼らが解釈の上で用いた用語の正確な意味や概念を調べるなど、懐疑的な姿勢をもって受け止めるようにしていただきたい。


…えーっと、参考までに。

http://cruel.org/other/smoking.html

ま、ただ「健康増進法」第25条のような法律が出てくるのは、これまでのような有様では致し方ないことだと俺は思うし、少なくとも飲食の場では煙草と無縁でありたいとも思う。