オカルトは何処にでもあるもの。

3月頭あたり突発的にギターなど始めてから、ついこの間半年が経過した。

そんなわけで、道具を手にしたら、その動作の基礎原理やら由来やら関連する面白い話などを知りたくてたまらなくなる俺は、3月以来当然のごとく色々調べていたりしたわけだ。そして、その過程で様々なオカルトじみた話とも当然のごとく出会うわけでw

半年が経過した記念ぐらいの意味で、それをネタに記事を書いてみようかと、今さっき急に思い立った。


…で、オカルトじみた話の代表格はこれ。対象をマグネティックピックアップのソリッドギターに限定して話すが、

「アルダー材のボディは音が良い」

…だそうだ。


なんというか、エレキギターというのは電磁誘導を応用した楽器であるわけなんだな。


マイケル・ファラデーによって1831年に発見された電磁誘導を、1880年代にジョン・フレミングが説明した「フレミングの法則」というものを、読者諸氏はおそらく中学校あたりで習っているはずだが、その「右手の法則」によって説明される「磁場によって発生する電流」がまさに、エレキギターの音が電気信号として出力される基礎原理になっている。

導体の周囲の磁場が動けば、導体に電流が発生する

というやつだな。


エレキギターのマグネティックピックアップは永久磁石とコイルから出来ていて、その上で鉄弦が振動すると、永久磁石によって磁石になった弦が動くので、その振動と同じ周期で磁場が動き、コイル内部に同じ周期を持つ交流電流が発生する。この電流が音声信号となるわけだ。エレキギターの音というのは、この電気的に表現されたアナログ音声信号が、エフェクタやアンプ特性によって加工された結果である。


さて、ここで先のオカルトらしきものを見てみると…アルダー材。ギターのボディを作るための木材であり、入力から出力にいたるまで、電気的な関連性を何ら持っていないパーツである。


先に述べた基礎原理から、ボディ材がなんであろうがある程度の剛性を持った非磁性体でありさえすればよいわけで、音質の差異に対してクリティカルに影響するとは考えにくい。


「良し悪し」論は主観だが、その主観を差し挟む以前に「有意な差がある」ことが客観的事実として確認されなければならないはずだ。アコギのように実際の音をヘルムホルツ共鳴で増幅させるならまだしも、出力までを電磁誘導でやってしまう以上、ピックアップの性能や弦の振動特性に起因する違い程には、そのメカニズムに関与しないボディ材が「耳で聴いてわかる差異」を生み出すと考えるに足る理由は無いように思える。



うーむ…どこからこの説が出てきたのだろうか? 誰かこのあたりを二重盲検法などできっちり検証した人っておらんのだろうか? 頭の悪いオカルトオーディオマニアの「CDを凍らせると音が良くなる」「電源ケーブルを替えたら音質が激変した」などに通じる胡散臭さを感じてしまうんだな。


…そもそもエフェクタでディストーションかけたりアンプ特性で変わったりするんだから、ボディ材は磁性体でさえなければ別に何でもいいような気がするなぁ…と。


まぁ、だからこそこんな事ができるわけで。

YouTube