【読了】A.C.クラーク「渇きの海」 / A.C.Clarke's "A Fall of Moondust"

※私の所持している版とは異なります。

先日古書店にて、訳書と原書を初版で入手したものだが、この週末に読了。

原書の出版が1961年。もちろんアポロ以前に書かれた月面ハードSF。しかし、舞台となる「渇きの海」の設定以外は観測事実から得られたリアルな描写で、まさに「クラークのハードSF」と言って良い。しかも話は二転、三転し、最後まで息もつかせぬ展開。


月面で起こった大事故からの一大救出劇。

乗客を乗せたまま「渇きの海」に沈んだ月面遊覧船セレーネ(月の女神)号。船内に閉じ込められた乗客達の人間ドラマ、「液体と個体の悪い面ばかりを持つ」月面の塵に満たされた「渇きの海」に沈んだセレーネ号から、どうやって乗客たちを救出するのか奮闘する人々。とてもエキサイティングな物語。


私がハードSFの面白さを知ったのはホーガンの「星を継ぐもの」だったんだけど、まだそれを知らない人に読ませる最初の一冊としては、この作品も良いだろうなぁ。