倹約ゲーム制作 〜ゲーム制作は金持ちだけの特権なのか?〜

いつの頃からかははっきりとは覚えていないが、ゲームを作るのにずいぶんと多額の金がかかるようになった。いや、確か1990年代中盤あたりからではなかったか。


ゲームに要求されるテクノロジの水準が高くなり、分業、協業が当たり前になり、開発環境を専業で作るビジネスが登場した。コンパイラやツール、ミドルウェア等のライブラリなど、開発者以外に市場を持たないソフトウェアの馬鹿高いライセンス価格が発生し、プラットフォームに対する開発者の囲い込みが起こり、機密保持契約を結んで「売れるプラットフォーム」に参入するためのコストも要るようになった。それらで高騰したコストをペイし、損益分岐点を越えるための販売本数を確保するため大掛かりなプロモーションの必要性も出てきた。

「金を持ったプロ集団」と「ポケットマネーで活動するアマチュア集団」。

この両者が得ることの出来るゲーム制作環境の格差は日々広がっている。毎朝職場に出社すれば前者の立場である私も、仕事をあがればその瞬間後者になる。昔からアマチュアはアイデア勝負とはいえ、1990年代初期まではプロのゲーム屋とアマチュアが得られる環境はそうかけ離れていなかったことを思えば、今日の格差はとんでもない有様だといえる。


それでも、凄い作品を作っているアマチュアはいる。仮にアイデアがパクリでも、高い品質のデータやプログラムを持った作品を出しているアマチュアはいる。そういうのを見るにつけ、今日我々が「仕事」でやっていることのどこかに、大きな無駄があるような気がしてならない。


ほんとうにこれだけ金かけなきゃ出来ないのか?
その作品に100人近いスタッフは本当に必要なのか? (必要な場合もあるが)
コンパイラの1ライセンスあたり約40万円という価格は適正か?
そのデザインツールの使いやすさは、本当に150万円近くするライセンス価格に見合ったものなのか?


その金は、ひょっとしたらかける必要の無い金かもしれないとは思わないか? それだったら金とスタッフを浮かせて、もう1ライン立ち上げたほうが良くないか? 金を持ってなくても凄くて良い作品を作っているアマチュアがいるのに、我々は変なところに金をかけすぎているのではないか?


…などと、貧乏性の俺は考えてしまうんだな。

俺が金をかけずにゲームを作ろうとしているのはそこだったりする。プロであれば商売だから、基本は「安く買い、高く売る」で、買う(=開発する)コストを安く抑えるのは当たり前。アマチュアならば制約の大きな資本の中で作るわけだから、抑えられるコストを抑えるのはこれまた当たり前。


そして、どうせやるなら「native codeで書きたい」。

俺的には Flash とか Shockwave じゃなくて、native code を吐く compiler 環境に拘りたい。別にそれで充分なら Flash とかも良い環境だとは思うけど「環境にやってもらってる感」が強くてどうも性に合わない。その意味では DxLib 採用は若干ポリシーに外れるけど、BCCを使用する上で現状把握している情報の上では必要な選択ゆえよしとする。


なんつーか「貧乏だけど技術やアイデアがある」奴らのゲームがもっと出てこないと面白くない。