「けいおん!」第八話(含ネタバレ)

うを、散々遅らせていたら第九話の放映日になってしまったではないかw
そんなわけで、なんとか放映前に間に合わせるべく書き上げてみた。


なお、過去の放映回についてのレビューはこちら。

第一話感想 第四話レビュー 第七話レビュー
第二話感想 第五話レビュー
第三話レビュー 第六話レビュー

1〜2話については、漠然とした感想の体をとっています。

アバンタイトル

憂「こんにちは。平沢憂です。
  高校受験も終わり、春!
  私はお姉ちゃんの学校に──」

季節は巡り、また春が来る。
受検も無事終わり、姉・唯の通う桜高に合格した妹・憂。


合格発表の場で、当の本人よりも合否を心配していた姉とともに憂は喜びを分かち合う。
暖かな季節のもたらす、仄かな幸せを感じながら。
姉妹を見守る、軽音部の仲間達に祝福されながら。


そんな5人とは別に、同じ桜高に合格した少女が一人。
紺色のセーラー服と、頭の両脇で結んだ長い髪が印象的だ。

??「…あった」

無感動な口調でつぶやく様に、彼女は自らの合格を確認する。
この先待ち受ける、数々の出来事を、彼女は知る由も無い──



…ということで、ついに登場!


名前はわかっちゃいるんだが、あえて上の引用では名前を伏せてある。
前回第七話の次回予告段階では彼女について全く触れられていなかったが、
予測どおり第八話でのサプライズ的登場という形をとった模様。


OPの変化はなし。

新学期

年度が明け、新学期。
進級と共に行われるクラス替えの発表に一喜一憂する桜高生たち。
軽音部の面々もそれは変わらない。

唯「…あった! 2年2組かぁ」
律「わたしもだ」
紬「本当!? 私も2組!」

唯さん、律ちゃん、ムギちゃんの三名は、同じ2組になった模様。

唯「じゃあもしかして、澪ちゃんも?」
澪「…1組」

澪さんだけ違うクラスになってしまった模様。
律ちゃんはわざとらしく涙を流し、澪さんを慰めるかのようなことを言うが…

澪「…ふん! 律こそ私と離れて大丈夫か?
  もう宿題見せてやれないんだぞ?」
律「へっへーん! 平気だよー!
  こっちにはムギがいるもんねー」
澪「くっ…」

やはり嘘泣きだったかw
ちなみにムギちゃんが宿題を見せることを了解したという話は知らないw


まぁ、律ちゃんと澪さんの付き合いというものを考えるに、律ちゃんにしても澪さんと別クラスなのが少々残念なのは間違いないだろうな。ただ、それは自分達の力ではどうにもならない仕方のないこと。律ちゃんのこれは空元気で、こんな遣り取りも二人にとってはいつものレクリエーション。


そこに現れる憂ちゃん。

憂「あ、みなさん。おはようございます」
律「あっ! 似合ってる似合ってる!」
紬「初々しいわね」

律ちゃんだけでなく、真新しい桜高の制服に身を包んだ憂ちゃんの姿を見るのは、多分この日が初めてなのだろうな。もちろん姉の唯さんはその前に見ているだろうけど。


そんな新入生の憂ちゃんに襟元の歪みを直され、付けっぱなしだったクリーニングのタグを取ってもらい、寝癖を直される唯さん。

律「お前ら、姉と妹交代したほうがいいんじゃないか?」

平沢姉妹の関係も相変わらず。
この4月を境目に変わったものと変わらないものが、その空間に同居している。



作中の時間は、第一話で唯が入学してきた時からちょうど一年。
妹の憂が入学し、唯たちは二年生に。一年生4人だけだった軽音部も、二年生4人になった。
今年入ってきた一年生たちの中に、軽音部に入ってくる子はいるのか…?
いや、いるんだけどw


…ところで、原作では前回の年始参りからこの時期までの間に、唯さんの進級危機があったんだが、アニメでは見事に割愛されているなw

唯「…あれ? 2組って2階だっけ?」
紬「えぇ」
律「いかにも上級生って感じだよな。
  じゃなー、1階2年1組の秋山さん」
澪「うるさい!」

澪さんを残し、階段を上がってゆく3人。
一人取り残された澪さんは…

澪「…さびしい」

やはり淋しかったのねw

教室でも一人の澪さん。何をするでもなくうつろな目でぽつんと席に座っている。
新しいクラスには見る限り澪さんの知っている子はいない模様。

澪「(誰も、知っている子がいない…)」

普段は律ちゃんが近くにいるので忘れがちになるが、もともと人との積極的な交流があまり得意ではない澪さん。第一話でムギちゃんと出合った時も、唯さんが入ってきたときも、律ちゃんがそこにいて場の雰囲気を作ってくれたから、澪さんはちゃんと話が出来ていたんだと思う。そんな澪さんが知っている人のいないクラスで、誰に話しかけられるというのだろう。…と、そこに。

和「澪! よかった。唯とクラス離れちゃって、
  知っている人がいるか心配だったの。
  これから一年間よろしく…」
澪「よろしく!」

学園祭などで散々お世話になった生徒会役員にして、唯の幼馴染である和さんも澪さんと同じクラスになった模様。天の助けとばかりに涙目ですがりつく澪さん。
この作品に登場する二組の幼馴染たち──律と澪、唯と和は、それぞれ同じように1組、2組に分けられた形となるんだな。


ここでサブタイトルコール。

新たな力を獲得せよ

新学期ともなれば、どこの部活動も新入生を部員として獲得しようと、勧誘攻勢がエスカレートするもの。第一話と同じ季節がまたやってきた。


…モブで流れるガヤの音声から察するに、この学校オカルト研があるらしいぞw
各部の上級生たちが新入生にチラシを配る廊下で、我らが軽音部も勧誘に挑む。

律「澪! チラシは!?」
澪「い、一応作ってきたけど…」

パステルカラーで描かれた、シンプルで小さなカットがいくつか描かれ、中央に「バンドやりませんか」とだけ書かれた大人しいチラシ。澪さんらしいといえばらしい。
…「軽音部」の文字とか、どこで活動しているとかが全然書いてないんだが、大丈夫なのか? チラシ貰って興味を抱いても何処にいけばいいのか新入生わからんかもしれん。


もちろん律ちゃんは内容に突っ込みまくりで、キャッチフレーズの案とか出すんだが、その内容は軽音部本来の活動と全然関係ないw

律「そうだな…たとえば、
  『お茶とお菓子はおかわり自由食っちゃ寝食っちゃ寝の軽音部』!」
唯「あ!それいいかも!」
澪「よくない!」

第一話で文芸部に入ろうとした澪さんを「バンドやろうって約束したじゃないか!」と引き止めたのは律ちゃんだったはずだが、この一年ですっかり真面目にやってるのは澪さんのほうになってしまったのかw

律「じゃあ他になんかあるか?
  このままじゃインパクトが無いぞ!?」

そんな律ちゃんの肩にぽんと手を置く第五の人物。

さわ子「無ければ、つけるまでよ!」

第五話で「不本意ながら」顧問になったはずのさわちゃん登場。
どうみても最近は軽音部の顧問としての役割を楽しんでいるようにしか見えませんw
確か合唱部の顧問とかけもちだった筈なんだが、あっちはいいのかさわちゃん!?
そしてさわちゃんの策とは…?

溺れるような策でもない

澪「軽音部、でーす…」
紬「明日、新歓ライブがありまーす。ぜひ、きてくださいにゃーん」
律「興味のある人は放課後、音楽準備室にどうぞ!わんわんわんわん」
唯「おいしいお菓子も、いっぱいあるよーコケーッ!」

…立ち並ぶ4つの着ぐるみは、周囲に対し明らかな異彩を放っていた。
馬、鶏、猫、そして犬。もちろんこれが「インパクトをつける」というさわちゃんの策なわけだが、インパクトだけあってもしょうがないのは世の常であるw

唯「…ねぇねぇ澪ちゃん」
澪「えぇっ!?何?」
唯「これって、逆効果なんじゃ…」
澪「…私も今思ってた」

そこを友達と一緒にとおりかかる憂ちゃん。唯さんは鶏の着ぐるみを着たまま追いかけるが、憂ちゃんには得たいの知れない着ぐるみが血相を変えて追ってくるようにしか見えず、逃げ出してしまう。そりゃそうだw 着ぐるみのまま全力で追いかけた唯さんも肩で息をしている。

??「…あれ、何?」
隣の娘「さあ?」

その様子を友達と見ていた冒頭のツインテール少女も呆れている。
そこにチラシを手渡す澪さん。彼女も馬の着ぐるみを着ているのでインパクトは抜群だ。インパクトだけだがw

澪「軽音部です。
  興味があったら放課後、三階の音楽準備室に、是非」
??「は、はぁ…」
??「(何、これ?)」

澪さんの手渡したチラシには「音楽室を独り占め!!」と加筆されている。ある意味、音楽準備室を占拠している軽音部にふさわしいキャッチフレーズではあるがw


結局、チラシを手渡されたツインテール娘は、何のことやらわからぬ様子。

唯「…つらいばかりで、あんま受け取ってもらえなかったね」
律「…明日のライブで取り返すしかない!」
紬「そうね!」

部室に戻って着ぐるみを脱ぎ、息を切らしながら話軽音部員たち。
インパクトをつけることにだけは成功したがそれ以外のことがまるでうまくいかない、さわちゃんの策。そういえばあの先生、在学中もワイルドを追及して行き過ぎた人だっなw


机に並ぶ四つの着ぐるみの頭は、さながら斬首された罪人の首のようだw

さわ子「あのー、この服も作ってみたんだけど…」
律「(無視して)さあ! 午後の授業始まるぞー!」

腹立たしげにさわちゃんを無視する律ちゃん。
まぁ、労多くして益少ない策を提示したのはさわちゃんだしなぁ。

一年生たちは…

憂「軽音部に?」
クラスメイト1「うん。なんかかっこいいイメージあるでしょ? 行ってみない?」
クラスメイト2「あ、あたしはいいや…じゃあ」

昼休みの悪夢を目にしたのか、軽音部の見学を敬遠する一年生もいる模様。
憂ちゃんは誘いをかけてきたクラスメイトと軽音部の見学に行くことにしたようだ。


そんな様子を見ているツインテール娘。どうやら憂ちゃんと同じクラスの模様。

友達「梓! ジャズ研、2階の部室で説明会だって。早く行こう?」
梓「うん」

ここでようやく名前が出てきたので以後遠慮なく呼べる。わざわざ引用で「??」にしたり、本文中で「ツインテール娘」とか書くのは結構面倒だったんだw だが、然るべき時が来るまで「あずにゃん」の表記はおあずけ。多分次回か。しばらくは「梓」でいこう。本文中での呼称に悩むところだが、まあ次回までのつなぎということで、こちらも「梓」でいいか。


ちなみに憂ちゃんに声をかけたクラスメイト、原作では「純ちゃん」と呼ばれていたはずだが、アニメ版では名前が呼ばれた様子が無い…か? まあいいや。EDのクレジットでも「鈴木 純」となっていることだし、梓の友達と混同しないように、原作にならい台詞引用部では「純」と表記しよう。


で、梓の友達の台詞によると、この学校には「ジャズ研」がある模様。「部」ではなく「研」であるところを見ると、研究会、同好会の扱いらしい。軽音部の例を見るに、桜高の「部」が満たしているべき条件は、判明している限り「4人以上の部員」と「顧問の存在」。原作ではこれに「活動実績」が加わるが、原作にあった「文化祭以外の活動実績が乏しい」という理由で再び廃部の危機に直面する、というエピソードがカットされているので、アニメ版でも同様かは不明。
そもそも桜高では「部」と「研」の扱いが同じなのか異なるのか、という点から不明だが、大抵の学園ものにおいては、「研究会/同好会」は「部」より格下の扱いを生徒会から受けている。

部活見学

さて、友達に誘われ、三階音楽準備室にやってきた憂ちゃんはというと…

憂「(ノックして)すみませーん」
唯「いらっしゃいませー」
憂「…お姉ちゃん!?」
律「あ、憂ちゃん」
紬「もしかして軽音部に?」

…このときの軽音部員たち、全員がメイド服を着込んでいるわけだがw
一体なぜ? と思う間もなく…

澪「助けて〜!」

さわちゃんに抱えられ、凄まじいスピードでどこかへ連れ去られる澪さん。
まぁ、こんなことを考えるのはあの顧問しかおらんわけだがw

律「さあ、入って入って! 歓迎するよー」
憂「そ、その前に…今のは…」

危機的状況にある澪さんを放置して、何事もなかったかのように憂ちゃんを迎える律ちゃん。鬼だw



一方、友達に誘われ、部活見学に出た梓。

友達「えーっと…確かオカルト研の隣の隣…」
澪「ひあぁぁぁぁあぁ〜」(遠くなる声)

階段の下を通りかかった梓たちの前を、ものすごいスピードで駆け抜けてゆく怪しい人影。しかも誰か抱えている…まぁ、澪さんを抱えたさわちゃんなんだがw 第五話でも顕著だが、アニメ版のさわちゃんは人知を超えた身のこなしをする。


…というか、またオカルト研の名が。そんなにオカルト研好きかw


桜高における「ジャズ研」も「研」である以上、生徒会からの扱いは「オカルト研」とおそらく同じ程度の扱いなのだろう。ジャズ研がジャズをどうする研究会なのかは不明だが、「レス・ポールのギターはジャンゴ・ラインハルトの影響を最も強く受けており…」みたいな話で盛り上がるのか? その方面はまだ足を突っ込んでないのでよく知らんが。

梓「…この上って…」
友達「確か、音楽室だったと思うけど…」
梓「音楽室…」

音楽室という言葉から、昼休みに「馬の着ぐるみの人」(澪さん)からもらったチラシを思い出していたんだろうか。その情報と、今目の前で起こった出来事をどう結びつけてよいか悩んでいるようにも見える梓。まぁ、普通は結びつかんわなw

唯「クリスマス以来さわちゃん先生、
  みんなに服着せるのクセになっちゃったみたいでさぁ」
憂「そうなんだ…」

…俺の記憶では、学園祭ライブの時からだったと思うのだが、そんなことは些細な問題だw 唯が与太話を憂に持ちかけている間に、ムギちゃんが私物のティーセットで紅茶を入れている。トレーの上にはお客様用のカップが二組、お茶請けのケーキが二つ、そしてミルクポット。上品かつ愛らしいデザインのティーセット。マイセンの定番ともいえる、ピンク・ローズのティーセットですな。ずいぶんと高いものをw

【参考】ティーセット マイセン ピンク・ローズ - Google 検索

ちなみに庶民らしく価値の指標として値段を出してみると、カップとソーサーの一組で、安くても3万5千円ぐらいする。学校にそんな高価なものをもってきちゃいけませんよムギちゃんw …いや、琴吹家にとってはどうということのない値段なのかもしれんが。で、紅茶を入れるムギちゃんのメイド服姿が様になりすぎなんだが、彼女、家に帰れば本職のメイドさんが紅茶を入れてくれる立場の人だと思わなくもないw


で、今日のお茶請はブルーベリーのチーズケーキですかいな? お菓子の質感には、特殊効果担当の三浦里奈さんが力を入れているだけのことはあり、毎度大層美味そうに描かれている。前回のクリスマス会で、和さんが受け取ったムギちゃんのプレゼントも美味そうだったが、今回もなかなか。


事前に話していなかったのか、ここで一緒に来た純ちゃんに姉の唯さんを紹介する憂ちゃん。まぁ、誘ったのはむしろ純ちゃんのほうだしな。第一話アバンタイトルで出てきた唯さんの部屋のコルクボードに貼ってあった写真と第七話の通学シーンを見る限りでは同じ制服なので、平沢姉妹の中学は二人とも同じであるはず。友達が中学の時から憂ちゃんと一緒ならば、中学在校当時の唯さんを先輩として知っていてもおかしくないが、ここで紹介しているということは桜高に入学してから知り合った友達なのか? あるいは単に改めて紹介、という線もないでもないが。


ムギちゃんの入れたお茶を載せたトレーを二人の来賓のもとに運ぼうとする唯さんだが、手元がおぼつかず、危なっかしい…どころじゃないぞこれはw ちなみにそれ落としたら(カップ+ソーサー)×2+ミルクポットで、おそらく10万円以上の損害になるわけだがw 唯さん、高校生の身空で昨年のうちにムギちゃんに対し20万円の借り(レスポール。第二話参照)があるわけだから、これ落としたら30万以上の借金を抱え込むことになるぞw


結局、お茶を運ぶのは来賓であるはずの憂ちゃんがやることになるわけだが、日常生活における唯さんのダメっぷりと、憂ちゃんのしっかり者ぶりはここでも健在。



姉・唯を筆頭として、憂ちゃんによる純ちゃんへの軽音部メンバー紹介は続く。

憂「この人が律さん」
律「どもー。部長の田井中律です」

律ちゃんが誇らしげに部長を名乗った直後、生徒会役員の和さん乱入。

和「ちょっと、律!」
律「は?」
純「(憂に)かっこいい人だね…」
和「講堂の使用申請書、また出してないでしょう!
  明日、ライブできなくなっちゃうわよ!?」
律「…そうだった!」
和「まったく…何度言えばわかるの?」
律「ごめんなさいごめんなさいごめ…」

褒められた矢先にこの有様。
やはりシリアスには決まらない部長・田井中律
昨年度の学園祭といい、事務処理はどうにも律ちゃんの性には合わんらしい。

憂「こちらが、琴吹紬さん」
紬「はじめまして!」
純「どうもです
  (憂に)…やさしそうな人だね」

…と、好印象かとおもいきや、まだもめてる律ちゃんと和さん二人を見て、来賓の前で妄想を始める。その妄想が悟られていないことを祈るw

憂「…で、最後が──あれ?」

戸口からこっそり中を覗いている澪さん。結局さわちゃんの毒牙から逃れることはできず、メイド服に着替えさせられたらしい。恥ずかしがってなかなか戸口に隠れて動かない澪さんだったが、憂ちゃんの「似合ってますし」の言葉に気を良くして部屋に入ってくる。

憂/純「かわいい…!」

そんな二人の様子をしげしげと観察する大人が一人。

純「あの…この人は…」
憂「さわ子先生。軽音部の顧問…」
さわ子「…あなたたち」
憂/純「はいっ!?」
さわ子「着てみない?」
憂/純「…結構です」

訂正。「観察するダメな大人が一人」。
メイド服を取り出すさわちゃんだが、あっさり断られる。
それはそうと、この段階ですっかり猫かぶりをやめてしまっているように思えるが、憂ちゃんはともかく純ちゃんに素性を見せてよかったのかさわちゃんw 七話における和さんや、憂ちゃんは唯さんと直接のつながりが深い人物だからまだ良いとしても、純ちゃんは違うぞ?


梓たちは…

ジャズ研先輩「…じゃあ、よろしくね」
梓/友達「ありがとうございました」

梓とその友達が参加したジャズ研の説明会も終わった模様。

友達「…どうだった?」
梓「うーん…本物のジャズっていうのとは、少し違ったかな…」
友達「そっかー…」

この台詞は梓がサラブレッドであることの伏線かな。何がどうサラブレッドなのかは、おそらく次回の自己紹介で語られると思われるので、ここでは伏せておく。原作読みゃすぐわかってしまうことではあるけど。


多分この友達は、梓はジャズが好きなのを知っていて、良かれと思ってジャズ研の説明会に誘ったんだろうな、と。しかし、ジャズ研の活動内容がどんなものかは知らないが、梓の興味を引くにはいたらなかった、と。


梓に、彼女の言うその「本物のジャズ」の定義を問うたところでおそらく答えられないとは思うが、ここではその「本物のジャズ」についての客観的な定義は関係ない。どんな音楽をやりたいのか、そのためにどう動くのかを決めるのは梓本人だから、彼女にとっての主観的な「本物」でないものは、この時点における興味の対象ではない、と解釈するのが正しいのだろう。


ともかく、この台詞はさりげないが、「この時点での梓はジャズがやりたかった」という描写と解釈することもできる。それが軽音部4人の音楽に触れることで変わってゆくその心象描写に期待したいところ。

梓「(そういえば…)」

ジャズ研説明会の帰り、再び音楽室下の階段前を通りかかった梓。立ち止まり、階段の上を見上げ、ポケットから一枚の紙を取り出す。それは昼休み、馬の着ぐるみを着た先輩から「興味があれば来て」といわれて渡されたチラシ。あの先輩の言った音楽室が、この階段の上にある。友達に誘われて見に行ったジャズ研が期待はずれだった梓。この階段の上にある音楽準備室を占拠している部活動に、何か因縁めいたものを感じたのか、彼女の視線はしばし動かなかった。


そしてAパートは終わる。


…まぁ、梓にチラシを渡した馬の着ぐるみの先輩は、今その階段の上でメイド服を着ているわけだがw

演奏

見学に来た憂ちゃんたちの前で、実際に演奏してみせようとする軽音部員たち。だが、彼女らはさわちゃんに着せられたメイド服のままだ。

唯「澪ちゃん、ストラップが肩に…」
澪「うん、私も…」
律「裾が邪魔…」
紬「袖が…あ、大丈夫か」

立位での演奏ではストラップを使って肩に掛け、楽器を身体に固定するギターやベースでは肩や袖のデザインが邪魔となり、キックドラム(最も低音を出すドラム。バスドラムとも)やハイハット(支柱に固定され、開閉状態を切り替えてサスティンをコントロールするシンバル)をペダルでコントロールするドラムではスカートの裾が邪魔となるメイド服。問題が無いのは、手先でのコントロールがほぼ全てであるキーボードだけの模様。さりげなく皆に合わせようとしてボケかけてやめるムギちゃんがこっそりと面白い。


…肩の形状がケープ状で、スカート丈が短めならば邪魔にもならんかっただろうけど、さわちゃんの用意したメイド服は「バンドとしての機能性」は全く考えられていない。


ついには、

律「あーもう! やりづらい!」
澪「誰だ! メイド服なんて言ったの!」

…あなたたちの顧問ですw


そして彼女らが着替えたのは、

紬「結局ジャージになりました!」

ジャージに着替えたのを良いことに馬とびを始める唯さんと律ちゃん。第三話で勉強中の唯の部屋に乱入するとき見せた柔道の受身もそうだが、律ちゃんは身体を動かすのが好きなようだ。まぁ、指先で細かくコントロールするキーボードやギターよりも、全身運動となるドラムを選ぶ大雑把な子だから、なんとなく似合っているような気がせんでもない。ムギちゃんに次をやらせようとして、澪さんの鉄拳を受ける律ちゃん。

律「じゃあ始めるぞー」
唯「うん」

止む無くたんこぶのついたままドラムスローンに座り、開始を宣言する律ちゃんに応じ、唯さんがチューニングを確認するため開放のまま高音弦をストロークで一発鳴らす。

純「あぁっ かっこいい!」
憂「かっこいい…けどジャージ…」

どうにもジャージ姿のバンドというのは見た目にしまらんものだが、むしろこういうコンセプトでやってる連中とかおらんかな? ぜひ見てみたいw


そして律ちゃんがカウントを始める…

音楽室前

音楽室内ではそんな感じで今まさに演奏が始まろうとする頃、階段の下にいた梓は、音楽室に続く階段を上っていた。

友達「ホントに行くの? あの着ぐるみの人たちでしょ?」
梓「…ちょっと、覗くだけ」

気が進まない様子で階段の下から再考を促す友達。しかし、梓は一度抱いた興味を落ち着かせるためか、音楽室を覗きにかかる。


室内から聞こえてくる演奏。彼女らの最初のオリジナル曲「ふわふわ時間(タイム)」のリフ。だが梓たちが見たものは…

梓「…ジャージ?」
友達「…あ、あれ平沢さんじゃない? 同じクラスの」

ジャージを着たバンドと、その演奏を聴くクラスメイトの姿。

友達「なんか、困ってるっぽいね…」
梓「真面目にやってる部じゃないのかなぁ…」

憂ちゃんの表情は、姉が間違えないかどうか心配しているようにも見えるが、この時点における梓とその友達は、ジャージを着てレスポールをかき鳴らすギタリストがクラスメイト「平沢さん」の姉であるなんて事情は知らない。あるいは本当に困っていたのかもしれないが、憂ちゃんが軽音部の演奏中に困る理由があまり思い当たらないので、梓の友達による判断はどことなく的外れに聞こえる。


梓としては、その部が真面目に音楽に取り組んでいるのかどうかが重要なようで、憂の様子にはあまり興味が無い模様。

印象は…

唯「なんか、ちゃんと演奏みせてあげられなくてごめんね」
澪「いつもは、真面目にやってるから…」
唯「そうかなぁ」
澪「そうだろ!」

演奏が終わり、見学の二人をお見送り。
軽音部を辞した憂ちゃんと純ちゃん。見学を希望した純ちゃんとしては、あまりの強烈さゆえにケーキの味ぐらいしか印象に残らなかった模様。フォローしようとした憂ちゃんに対し、誤魔化すように去ってしまう。

憂「こりゃ望み薄かな…」

どうにも純ちゃんへのアピールは失敗の模様。純ちゃんと別れた帰り際、玄関で梓と鉢合わる憂ちゃんだが、梓は感心が無い様子で立ち去ってしまう。


その夜、自宅で話す平沢姉妹、唯さんから純ちゃんの様子を訊かれて、野菜炒めを作りながら曖昧に誤魔化さざるを得ない憂ちゃん。そんな事情も知らず、愛用のレスポールをチューニングしはじめる唯さん。前回のクリスマス〜年始参りから3ヶ月経っているはずだが、憂ちゃんが夕食を準備しているところを見ると、また両親はどこかに行っているのか?

憂「…お姉ちゃん」
唯「んー?」
憂「軽音部の一番いいところってどこ?」
唯「へっ? うーん…そうだなぁ…楽しいところかな、やっぱり」
憂「楽しいって?」
唯「楽しいは楽しいだよ」

具体的な説明は受けられなかったが、昨年軽音部に入ってから一年たった姉・唯さんの変化は、憂ちゃんも認めざるを得ない。自分の気持ちの多くをつぎ込んで熱中できることを見つけ、今夢中の唯さん。そういう人は誰が見ても幸せそうだ。
それ以前、中学時代の唯さんは部活も何もやっておらず、家に戻れば日がな一日ゴロゴロしていたらしいから、確かに変わったんだろうな。すぐおやつを欲しがるのは相変わらずだが。

茶番は終わり、軽音部の本気。

翌日、桜高では新入生を歓迎する催しが行われる。
こういうイベントは大抵生徒会主導だったりするわけだが、おそらく和さんあたりは影で奔走しているに違いない。そして、このイベントでは軽音部のライブが行われる。ここまでの展開において、着ぐるみで「得体の知れない部活動」という印象を与えてしまった軽音部。このライブが正念場だ。


ステージの緞帳が下ろされ、舞台中央には既に律ちゃんの Hipgig やムギちゃんの TRITON Extreme が設置され、出番を待っている。


緞帳の隙間から客席を覗き見る澪さん。

澪「うわっ人でいっぱい…」
律「そりゃあ、新入生歓迎会だからな」

今年桜高に入った新入生のほぼ全員という人数を前に、相変わらず緊張を高める。

紬「いつもどおりやればいいだけ!」
澪「で、で、で、でも…」
律「…結局緊張するんだな」
唯「律ちゃん! そこで100円拾った!」
律「…お前はもっと緊張しろ」

対する唯さんは緊張感のかけらもないw
憂ちゃんと純ちゃんが見学に来たときのムギちゃんの台詞からは4曲やる予定になっているはず。その4曲とは…

曲目

  1. ふわふわタイム
  2. カレーのちライス
  3. 私の恋はホッチキス
  4. ふでペンボールペン

(以上、澪による曲目書き出し)

曲名の表記が一部原作と異なるものがあるな。まぁ人に見せるものではなく、自分達で見るためのものだからこれで良いのだろう。ただ…

律「相変わらず澪のセンスは独特だよなー」
澪「…そう?」

という律ちゃんの言葉どおり、諸々の意味で独特な曲名だw
原作もそうだが「澪のセンス」ということは、最初の「ふわふわ時間(タイム)」以来、軽音部の楽曲の詞はほぼ澪さんが手がけるパターンが定着しているのだろうな。ここから類推するに、作曲はムギちゃんが手がけてるのもまた定着していると思われる。確かに実在する数々のバンドにおいても、曲や詞を書くメンバーは大体決まっていることが少なくないし、それ故に「バンドのカラー」が決まってくるところもある。

唯「ねぇねぇ、ボーカル全部私でいいの?」
律「…そういや決めてなかったなぁ」

…決めとらんのかいw
律ちゃんは、前回評判がよかったので澪さんにも一曲ぐらいやってみたらと提案するが、前回ライブ終了時のアクシデントが未だに尾を引いていて、澪さんはひたすら拒否する。
何を言っても「ヤダ!」と首を横に振るばかり。そんな澪さんを見て…

唯「ラーメンだけじゃ?」
澪「ヤダ!」
紬「ギョーザもつかなきゃ?」
澪「ヤダ!」
律「…すっごい拒否反応だな、おい」

…遊ぶなよwしかもムギちゃんまでw
ちなみにムギちゃん、こういうネタに乗れるということは、意外と庶民的にラーメンとか餃子も食べるのか? そこに現れる顧問のさわちゃん。

さわ子「しょうがないわねぇ。全部唯ちゃんでいいんじゃない?」

全曲唯さんボーカルを提案。学園祭ではそのさわちゃんの特訓が行き過ぎて、声を枯らしてボーカルが出来なかった唯さん。今回はその唯さんがメインボーカルをとることに決まる。その時…

アナウンス『次は、軽音楽部による、クラブ紹介と演奏です』
律「…出番だ!」
さわ子「頑張ってね。最後に、みんなに一つだけ言っておくことがあるわ」

さわちゃん、今回はホントに余計なことしかしてないので、ここは一つビシッと決めて欲しいところだが…

さわ子「制服も意外とイイ!」
律「…はやく舞台袖に下がってください」

…最後まで余計なことをw

迷える一年生達

その頃、人が出払い閑散とした教室で、憂ちゃんは純ちゃんと話している。

憂「えぇっ!?決めちゃったの?」
純「うん。ジャズ研究会に、すごいかっこいい先輩がいて…ごめんね」

やはり純ちゃんは軽音部を選ばなかった様子。
確かに選ぶのは純ちゃんだが、昨夜期待していた姉の笑顔や、軽音部の面々と顔見知りというのもあったのだろう。憂ちゃんは残念さを隠せない様子。


その時、同じ教室にもう一人──梓の姿。憂ちゃんが梓の姿に気づくと、少し決まりが悪そうに驚いて教室から出ようとする。どうやら憂ちゃんと純ちゃんの会話を立ち聞きしていたようだ。去ろうとする梓の背中を──

憂「あ、あの…」

憂は呼び止める。梓はその声に振り返った。


無視してもよかったのかもしれない。
でも、梓は振り返ってしまった。
このときの梓は何を思ったのだろう。


前日説明会に参加したジャズ研究会は、梓の求める場所ではなかった。
失望した説明会の帰り、覗いた音楽室の軽音楽部。
昼休みに着ぐるみでのチラシ配りに、
見学者を困らせているかに見えるジャージでの演奏。
真面目な部活動ではないのかもしれないと考えた。


そして、今しがたクラスメイトの一人が目の前で、
自分が蹴ったジャズ研への入部を決めたことを明かした。
昨日軽音部を覗いたとき困ったような顔をしていた「平沢さん」は、
一緒に見学したクラスメイトの決断に残念そうな顔をしていた。
今、その「平沢さん」が自分を呼び止めた。


振り向いてしまった梓が、憂の声に感じたものは?

Strange Stage

(※本章は、自分解釈の梓視点でお送りします)

唯「ごめんね、つき合わせちゃって」

平沢さんに導かれ講堂を訪れたとき、照明は暗く落とされていた。
ほぼ人で埋まった客席と、対照的に明るく照らし出されるステージ。


イベントの趣旨からして、客席に座っている大半は、おそらく自分と同じ一年生なのだろう。ステージの赤いカーテンの手間、4種の楽器を手にした4人の先輩は、全員二年生。


私達が講堂に入ったところで、ちょうど一曲が終わったところらしい。
客席から立ち上がり、拍手をしている者までいる。


ステージの右側では、一人の先輩がペットボトルの水で喉を潤している。
肩から下げているのは艶やかなラッカーで塗装された分厚いマホガニーのソリッドボディ。レスポールを持ったギタリストの先輩。

憂「お姉ちゃん、ボーカルなんだ!」

嬉しそうな平沢さんの声。あのギタリストが彼女の姉らしい。
彼女はマイクスタンドに向き直ると、MCを始める。

唯「どうもー!け…」
(SE:キーンというハウリング音)
唯「軽音部でーす」

突然大きな声を出したので、マイクがハウリングを起こしている。
あまり、慣れているようには見えない──

唯「えーと、新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
  わたし、最初軽音部って聞いて、軽い音楽だと思ってたんですよ〜」
律「(唯のMCは安心して聞いていられるな…)」

間延びした声のMC。でも、みんな笑っている。

唯「…それで、カスタネットができればな〜なんて、軽い気持ちで入部しました。
  なので皆さんもそんな感じで、気軽に入部してください!」

話す内容も少し間抜けな感じ。
でも、明るくて邪気の無い笑顔。本気で言ってるみたい。


ヘアバンドをしたドラマーの先輩がスティックを構えなおす。
そろそろMCも終わるみたい。

唯「…あ、でも」

…ひょっとして、まだ続く?
気合を入れたドラマーの先輩が、脱力したように見えたのは、多分気のせいじゃない。

唯「カスタネットは、実は難しいって、さわちゃん先生が言ってました!
  では次の曲!」
律「(全く…)」

次の曲が始ま…らない。

唯「あ、さわちゃんっていうのは、音楽の先生のあだ名…」
(SE: ドラムロール、後ライドシンバル)
律「コミックバンドか!」
唯「ご、ごめん…」

…怒られてる。変な人。

唯「…じゃあ次の曲、『私の恋はホッチキス』!」

言い終わらないうちにドラムの先輩がカウントを始め、流れるような16ビートのドラムイントロを叩く。間の抜けたMCをしていた先輩がさっきとは別人のように、手にしたレスポールで伸びやかなリードのリフを奏で始めた──

「私の恋はホッチキス」

澪「(…出だしのリフ、難しいのに完璧になってる!)」

イントロで唯のリードギターが奏でるリフ。
ステージ上での完成度に澪は驚いた。

澪「(…ていうか、唯、歌!)」
唯「(え…歌詞忘れた…!)」

土壇場になって、唯は歌いだしの歌詞を忘れてしまっている。
この大事なステージで失敗するわけにはいかない。已む無く──

澪『なぜなんだろう 気になる夜 君への この想い──』
唯「(澪ちゃん…!)」
澪「(早く歌え!)」

澪はフォローに入る。ステージ前、あれだけボーカルを嫌がっていたのに。

唯/澪『もしかして 気まぐれかも しれない──』

澪のフォローに、適切なタイミングで歌に入る唯。
途中からは唯がメインをとり、澪がコーラスで入る。
このライブでのバージョンは、二人のツインボーカル


4つの楽器、二人の歌声。
講堂最後部の壁で立ち見していた憂が手拍子を始める。
しかし、梓はステージの4人を凝視したまま微動だにせず──


──いや、つま先を伸ばし、両足の踵で、全身を上下させてリズムを取っている。
表情は変わらないまま、しかし、梓の中の何かが、その身体にリズムを刻ませている。


春先の学校、その名と同じ花の咲き誇る季節。
青い空に溶け込むように音楽は流れてゆく──

待ち人は…?

ライブが終わり、空がオレンジ色に染まる夕刻。

紬「あのー…みなさん…?」

唯さん、律ちゃん、澪さんの三人は、音楽準備室の扉を半開きにした隙間から、ずっと外を凝視している。

紬「そんな目で見てたら、来るものも来ないんじゃ…」
唯「だって、せっかくライブ盛り上がったのに…」
律「一人も来ないなんてありえない!」

入部希望の新入生を待ちわびる、のはいいが食いつきすぎですw


しかし待っても誰かが来る気配はない。
進入部員が来ない理由について、ライブで自分が失敗したからとか、部員が少ないからとか、あれこれ憶測を巡らせ始める三人。

紬「…お茶入りましたよ」

ムギちゃんだけが落ち着いて、ゆったりと構えている。
今日のお茶は緑茶、お菓子は和菓子と、和風に攻めるムギちゃん。
憂ちゃんを捕まえてくるしかないかと話し始めた矢先──

梓「あのー…」

さっきまで三人が外を凝視していた戸口に見える、黒髪のツインテール
顔を覗かせ、声をかける梓に、軽音部4名の視線が集中する。

梓「入部希望…なんですけど…」

中に踏み込み、後ろ手扉をに閉める梓。今日は覗くだけじゃない。
ここに、入りに来たんだ。

唯「へ? 今、何と?」
梓「入部希望…」

立ち上がり、歓喜の声を上げる4名。駆け出す部長・律ちゃん。
獲物を逃がすまいと梓に飛びかかるw

律「確保ーっ!!」
梓「きゃーっ!!」

…「確保」はないだろw 原作どおりだがw


音楽室への階段の下、梓の悲鳴を嬉しそうに聞く憂ちゃん。
新たな戦力も増えて、軽音部も安泰…なのか!?

次回予告

机の上に置かれた一つの物体を、カメラは延々と映し続ける。

梓「あの…これ、何ですか…?」
さわ子「何ってネコミミだけど?」
梓「いや…それはわかるんですけど…?」

はたしてこのネコミミは一体何を意味するのか?
軽音楽部に入部してしまった、1年2組 中野梓の運命は!?

感想

今回は第六話から一話分をはさんで、二回目のライブが行われた回である。


第七話から第八話の間に、原作ではいくつかのエピソードがあるのだが、割愛された分のエピソードはまぁ、BD等に収録されるのを期待したいところ。また、憂と純の部活見学をもって、時系列的には原作第一巻の内容が全て終了したということになる。梓の登場や新歓ライブは原作第二巻冒頭の内容に相当。


で、第七話レビューの「感想」で予測したとおり、七話次回予告では一切触れられず、今回サプライズ的登場となった梓。原作との最大の違いは、軽音部への入部に至るまでのテンションである。

原作では昨年度の学園祭において録音された音源を聴き、唯のギターに憧れ期待に満ちて入部してきた梓だが、アニメでは最初に期待していたのがジャズ研であり、そのジャズ研が期待外れだったところで新歓ライブを聴いて入部してくる。

そこに至るまで、梓が軽音部に抱いたイメージは「着ぐるみ」「見学者を困らせるジャージバンド」といった負のイメージであり、ライブで聴いた軽音部の音楽に何かを感じたのが入部の動機として描かれるわけだが、この描かれ方は「期待していたのにグータラで、失望しかかるが結局なんとはなしに馴染んでいる」という原作とある意味対照的だ。


また、原作の梓は「軽音部への憧れ」で入部しており、「自身がやりたい音楽」が何かあるわけではない(少なくとも言及されていない)のだが、アニメで描かれた「梓が当初やりたいと思っていた音楽(「本物のジャズ」という台詞で示される)」が軽音部のそれとは異なるものだったという演出が、今後どう活きるかも気になる。


ともあれ、ようやく登場した第五の軽音部員・中野梓
はやく「あずにゃん」の渾名を貰って欲しいところ。