そして定義確定。

そんなわけで、IAU総会による決議が出た。
国立天文台 アストロ・トピックスによれば、下記の通り。

決議
 国際天文学連合はここに、我々の太陽系に属する惑星及びその他の天体に対して、衛星を除き、以下の3つの明確な種別を定義する:

  1. 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。
  2. 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。
  3. 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodies と総称する。


注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星土星天王星海王星の8つである。
注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするかを決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。
注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む



冥王星についての決議


国際天文学連合はさらに以下の決議をする:
冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり、トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する。


訳注1:トランス・ネプチュニアン天体は、海王星より遠方にあって太陽の周りを回る天体で、今まで国立天文台ではエッジワース・カイパーベルト天体と表記してきました。

…ということで、今後天文学的に「惑星」と言った場合、重力平衡状態を有し、その軌道周辺にあった他の天体があらかた片付いていることが求められる。冥王星は周囲の天体が片付いていないため、2に該当するために dwarf planet に該当し「惑星」には該当しない、という結論。今後はこの「惑星」の定義が、「系外惑星」などの概念に拡張されていくものと思われる。


また、この定義で新しく登場した天文用語も興味深い。
これまで「エッジワース・カイパーベルト天体」と呼ばれていたものは今後「トランス・ネプチュニアン天体」と呼称されることになる。
訳の確定していないものもあるが、国立天文台はどのような訳語を割り当てるのだろうか。現時点では "dwarf planet" が「矮惑星」のように訳されているのを各所で見かけるが…