「リュート」という楽器

同世代ならわかると思うが、私はTRPGブームの中で青春を過ごした世代である。初期にはTSR*1のDungeons&Dragons、ブーム後期にはソード・ワールドRPGGURPS等、様々なシステムで遊び倒したものだ。


そんな中で青春を過ごしていれば、ファンタジーの世界観を持ったゲームにほぼ必ずといっていいほど登場する「リュートをつまびく吟遊詩人」と出会ったことは数知れず。しかし、今更のように思い当たることがある。

リュート」って、そもそもどんな楽器で、どんな音が出るんだ?

…てなわけで調べてみた。


まずは Wikipedia を観ると、西アジアの「ウード」や、中国から日本にも渡来した「琵琶」と祖を同じくする楽器とのこと。

リュート - Wikipedia
琵琶 - Wikipedia
ウード - Wikipedia

そもそもギターや琵琶、三味線などの有棹楽器類が「リュート属」として分類されているとのことで、もっとも祖先に近い楽器のような位置づけか。


特徴としては、直角に折れ曲がったヘッド。ウードも琵琶も同様の特徴を持っている。…なんか力学構造上、下手するとすぐ折れそうな気もする。TRPGに出てくる吟遊詩人って、ムーミンに出てくるスナフキンのような旅人のイメージがあるので、これ持って旅している間にヘッドが折れたりしないか少し心配になる。一人旅を続けてきたという設定なら、リペアマンとかクラフトマン的なスキルも併せて持っていたほうが良さそうだ。

見た目の印象は琵琶に近くずんぐりむっくりな感じ。弦の張り方や本数、調弦方法については Wikipedia を読んでもらうのが詳しい。


…さて、見た目と弦の本数、各弦の音階はWikipediaの説明でまぁよしとして、実際にはどう弾いて、どんな音が鳴るんだ? という話についてはこちら。

http://www.abc.net.au/classic/lute/

リュート奏者の方が実際にリュートを奏でるところと、その音色を動画で楽しむことができる。


基本的に木で出来た共鳴胴の上で弦を振動させる、という構造は同じなので、音色はクラシックギター*2に近いが、サスティンがあまりない…か? そうでもないか… あと、弦の素材というか造りが少々違うらしい。

近年ではクラシックギター同様にナイロンやフロロカーボン、それらを芯に金属ワイヤーを巻きつけた巻き弦が用いられるとのことだが、ファンタジーもののTRPGが世界観のモデルにしている時代であれば、ガット(羊など動物の腸を用いて作った紐)が主に使われていたようだ。これはクラシックギターなどでも同様とのこと。


実際にガットで作った弦の音を聴いたことが無いので、ナイロン弦と大きく違うのかそれほど違わないのかは良くわからんw


…あー、でも。


これでGM

「酒場の隅では一人の吟遊詩人がリュートを奏でつつ、こんな歌を歌っている」

…と説明したときの情景がちょっとはイメージしやすくなるかな。

【追記】
古楽器をやっている方の blog を見つけた。
リュートについての記事が多いようで、演奏動画へのリンクや実物の写真等も掲載されており、細かい部分のディティールがよくわかるのがとてもありがたい。

「恋のうぐいす」ブログ:So-netブログ

ガット弦の音色を録音した音声を掲載した記事もあった。
興味のある方は実際に聴いてみると良いかもしれない。
個人的にはナイロンほど張り詰めておらずまろやかな印象。

*1:当時。現在はWoCだったはず。

*2:ナイロン弦を使用する、いわゆる「ガットギター」